NISAを始めることを決めたあと、次にぶつかる壁があります。
あなたで、何を買えばいいの?
という問いです。
証券口座を開いて、積立設定の画面を開くと、ずらっとファンドの一覧が並びます。



名前を見ても違いがよくわからない



信託報酬って何?純資産額って関係あるの?
という状態になりがちです。
僕も最初は迷いました。特に「オルカン(全世界株式)」と「S&P500(米国株式)」のどちらを選ぶかで、ずいぶん悩んだのを覚えています・・・。
この記事では、オルカンとS&P500の違いと、僕がなぜeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を選んだのか、そして「両方買えばもっと分散できる」という勘違いと、両方持ってしまった人が売るべきかまで、体験を交えながら書いていきます。
インデックスファンドを選ぶ理由
ファンドの種類は大きく2つあります。
インデックスファンドは、特定の指数(日経平均・S&P500など)に連動するよう運用します。アクティブファンドは、プロのファンドマネージャーが銘柄を選んで「市場平均を上回る」ことを目指します。
アクティブファンドは信託報酬が高い傾向があり、年率1〜2%程度かかるものも珍しくありません。しかも、長期的に市場平均を上回り続けるアクティブファンドは少数派であることがわかっています。
「プロが選ぶなら勝てるのでは?」という気持ちはわかります。ただ、長い目で見たとき、コストの差は確実に運用成績に効いてきます。そのため、インデックスファンドを選ぶ考え方がNISAでは主流になっています。
僕もアクティブファンドはほとんど検討しませんでした。コストを払っても、確実に市場平均を上回れる保証はないからです。
オルカンとS&P500の違い:迷ったときの考え方
インデックスファンドを選ぶとなると、次の壁は「オルカンかS&P500か」です。まずは違いを整理します。
| 項目 | オルカン(全世界株式) | S&P500(米国株式) |
|---|---|---|
| 投資対象 | 世界約50ヵ国・3,000銘柄超 | アメリカの大企業500社 |
| 地域分散 | 高い(米国比率は約6割) | 米国集中(100%) |
| 特徴 | 世界経済全体の成長を取る | 米国経済の成長を集中して取る |
| こんな人向け | 幅広く分散したい | アメリカの成長を信じられる |
「より分散しているオルカンの方が安心」という見方もあります。「アメリカに集中しているS&P500の方が過去のリターンは高い」という見方もあります。
どちらが正解かは、将来のことなので誰にもわかりません。ただ、どちらを選んでも長期で積み立てていれば「大外れ」にはなりにくいのが、この2択の特徴です。
「オルカンとS&P500、両方買う」は分散ではなく米国集中!
ここで、多くの人がたどり着く考えがあります。



じゃあ、オルカンとS&P500を両方買えば、もっと分散できるんじゃない?
一見、理にかなっているように思えます。でも結論から言うと、それは分散ではなく「米国集中」になっている可能性が高いです。
オルカンの中身:米国比率は約6割
オルカン(全世界株式)は世界約50ヵ国に投資しますが、時価総額の大きい国ほど組入比率が高くなる仕組みです。
その結果、米国が全体の約6割を占めます(米国比率62.4%/三菱UFJアセットマネジメント月次レポート・2026年5月29日現在)。名前は「全世界」でも、値動きの大半は米国株で決まる、と押さえておくのが正確です。
半分ずつ買っても、米国株比率は約8割
S&P500は100%が米国株です。これをオルカンと同じ金額ずつ持つと、ポートフォリオ全体の米国比率は次のように計算できます。
| 商品 | 保有比率 | 米国株の割合 | ポートフォリオへの寄与 |
|---|---|---|---|
| オルカン | 50% | 約62% | 約31% |
| S&P500 | 50% | 100% | 50% |
| 合計 | — | — | 約81%(≒約8割) |
合計で約8割です。半分ずつ買ったつもりでも、資産の約8割が米国という一国に集中する計算になります。
組入銘柄が重なるので、値動きは連動する



それでも2本あれば、少しはリスクが分かれるのでは?
と思うかもしれません。
ですが、オルカンの組入上位はNVIDIA・Apple・Microsoft・Amazonといった顔ぶれで、S&P500の主力銘柄とほぼ重なります。同じ銘柄を多く共有している以上、両者の値動きは連動しやすくなります。
米国市場が大きく下げる局面では、S&P500もオルカンも同じ方向に動きます。2本に分けても、一方がもう一方の下落を打ち消してくれる関係にはなっていない——ここが「両方買い」で見落とされがちな点です。
なお、「分散のため」に両方買うなら効果は期待できませんが、「アメリカ比率を意図的に上げたい」という目的なら、両方買うのは筋の通った選択です。もったいないのは、目的が曖昧なままの「なんとなく両方」です。
オルカンとS&P500、両方持ってしまった人は売却すべき?



オルカンを積んでいたけど途中でS&P500に変えた。でも前のオルカンはそのまま残っている・・・
こうして両方持ちになった人も多いはずです。売るべきかは、実は「どの口座で持っているか」で答えが変わります。
NISA口座で持っているなら:慌てて売らなくていい
NISA口座で持っている場合は無理に売らず、今後の積立の配分で少しずつ寄せていくのが基本です。
- 値動きがほぼ同じで、乗り換えの実益が小さい(中身の6割が重複)
- NISAで売ると取得額(簿価)分の枠は復活するが、再利用は基本「翌年以降」。今年売って買い直すと、年間の投資枠を二重に使う形になり、枠の効率が落ちる(売却益はNISA内なら非課税)
- 旧つみたてNISAで買った分は、最長20年の非課税期間がある。一本化のために慌てて売るのはもったいない。非課税のメリットを使い切るまで持ち続ける方がお得
特定口座で持っているなら:今のうちに売ってNISAへ(唯一”売っていい”ケース)
特定口座(課税口座)で持っている分は、このままだと将来の値上がり益に約20%(20.315%)の税金がかかります。もしNISAの成長投資枠が余っているなら、今のうちに特定口座の分を売って、NISAで買い直すのが合理的です。
売った時点の利益には課税されますが、その後の値上がりはずっと非課税になります。長い目で見れば、結果的に払う税金を抑えられるわけです。
これが、両方持ちを整理するなかで唯一「売ってよかった」となりやすいケースです。
僕がeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)一本を選んだ理由
迷った末に選んだのが、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)でした。我が家はこれ1本をNISAで積み立てています。
選んだ理由は主に2つあります。
アメリカの経済力を信頼している
オルカンとS&P500で迷ったとき、最終的に「アメリカがこれからも世界をリードしていく」という見方に立てるかどうかが分岐点でした。
アメリカには、世界を牽引してきたGAFAMをはじめとする大企業が集中しています。過去の実績で見ても、S&P500は長期的に高いリターンを出してきました。「アメリカに集中するのは怖い」という感覚より「アメリカが伸びる」という感覚の方が強かったので、S&P500を選びました。
それに、先ほど見たようにオルカンも中身の約6割はアメリカです。全世界に分散しているように見えて、実質的にはかなりの割合でアメリカに投資していることになります。それなら最初からアメリカに絞るS&P500の方が、自分の判断に正直だなと感じたんですよね。
信託報酬が低い
eMAXIS Slimシリーズは、同じ指数に連動するファンドの中でも信託報酬が低い水準を維持しています。長期投資では、年率のコスト差が何十年分も積み重なります。コストを抑えることは、手元に残るリターンを最大化するうえで外せない要素です。
とはいえ、信託報酬はオルカンもS&P500も低い水準で並んでいて(オルカン0.05775%以内/S&P500 0.08140%以内・いずれも年率)、コストで優劣はつきませんでした。最終的な決め手になったのは、やはり「アメリカに賭けられるか」という一点だったんですよね。
本当に分散したいなら何をすべきか
「どちらが正解か」より大事なのは、理由を持って選ぶことだと思っています。そのうえで「本当の分散」についても触れておきます。
株の分散だけならオルカン一本で足りる
株式の地域分散という点では、オルカン1本で世界中の多数の国・地域をカバーできます。ここにS&P500を重ねても、増えるのは米国比率だけです。つまり、分散が目的ならS&P500を足す意味は薄く、「両方買う」必要はないということになります。
本当の分散は株式の外側にある
本当のリスク分散は、値動きの違うもの同士を組み合わせることです。代表例が「株式 vs 現金・債券」。逆に、似た値動きの株式ファンドを2本に増やしても、リスクはほとんど散りません。それは分散ではなく、同じ性質のものを重ねているだけです。
我が家の場合、その”守り”は投資の外に置いています。生活費6ヶ月分は生活防衛資金として現金で確保。児童手当は運用に回さず、現金と個人向け国債で持っています。
株価が半分になっても、生活そのものは揺らがない。この土台があるからこそ、株式はリスクを取って持ち続けられます。子育て世帯なら、なおさら大事にしたい設計です。
子育て世帯の生活防衛資金の目安はこちら、


教育費が実際いくらかかるかは教育費はいくら必要?で計算しています。


分散重視ならオルカン、米国に賭けるならS&P500
分散を最重視するならオルカン一本、アメリカに賭けるならS&P500一本。どちらを選んでも「間違い」ではありません。大事なのは、理由を持って「一本に絞る」ことです。いちばんもったいないのは、目的があいまいなままの「なんとなく両方」なんですよね。
僕は後者(S&P500一本)を選びました。理由がはっきりしていれば、暴落時にも売らずに持ち続けられます。
ファンド選びで見るべき3つのポイント
「何を基準に選べばいいか」という問いへの、僕なりの答えです。オルカンでもS&P500でも、この3点を確認すれば選択肢はかなり絞れます。
① 信託報酬(コスト)を確認する
まず信託報酬を見てください。年率0.2%以下が目安です。同じ指数に連動するファンドでも、信託報酬が異なるものがあります。コストが低いほど、長期の運用成績に有利です。
② 純資産総額を確認する
ファンドの規模を示す数字です。純資産総額が大きいほど運用が安定しており、繰り上げ償還(ファンドが急に終了すること)のリスクが低くなります。数千億円以上あれば安心感が高いです。
③ 何に投資しているかを確認する
「全世界」「米国」「日本」など、どの地域・どの指数に連動するかを確認します。自分が「長期で成長する」と思える対象に投資することが、積み立てを続けるモチベーションにもなります。


NISAの始め方・口座開設の流れはこちらで紹介しています。


まとめ
- オルカンとS&P500の違いは「全世界に分散」か「米国に集中」か。迷ったら「アメリカの成長を信じられるか」が判断軸
- オルカンはすでに約6割が米国株。S&P500と1:1で買うと米国株比率が約8割になり、「両方買い=分散」は勘違い
- 両方持ってしまったら、NISA口座なら慌てて売らなくていい。特定口座の分は、NISA枠が余っているなら売ってNISAへ移すと税金を抑えやすい
- 本当の分散は「株式 vs 現金・債券」。株の分散はオルカン一本で十分
- 僕が選んだのはeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)一本。アメリカへの信頼が決め手
- ファンド選びでは「信託報酬」「純資産総額」「投資対象」の3点を確認する
「どっちを買うか」は最初の壁に見えますが、選択肢はそれほど多くはありません。まずはオルカンかS&P500か、この2択から、理由を持って考えてみてください。
新NISAとiDeCoどちらを優先すべきかについてはこちら。





