このブログでは資産形成について書いていることが多いです。でも良いことばかり書いていても意味がありません。
失敗も正直に書いておきたいと思います。
2021年の秋、僕は投資詐欺にあいました。
同じような話が今も繰り返されています。あの頃の自分みたいに「まさか自分が」と思っている人に、この記事が少しでも届けばと思って書きます。
2021年、僕は投資詐欺にあった
副業で稼いでいた流れで話が来た
当時、僕は本業以外の収入の柱を作りたいと思い、まずはいくつかの単発の副業をこなしていました。
家計を少しでも豊かにし、投資元本を増やしたい。そういう気持ちで動いていた時期です。
そんな流れの中で、ある短期の投資案件の話をもらいました。「確実に儲かる」「1ヶ月で月利4%のリターンが出る」という内容で、紹介者は信頼できると思っていた知人でした。
「副業の延長線上に、もっとお金が増える方法がある」という感覚で話を聞いてしまいました。
まとまったお金を投資した
ちょうどその頃、長年目標にしていた「100万円を貯金する」と「奨学金を完済する」の2つを達成した時期でした。
手元にはまとまったお金がありました。近い将来のプロポーズに向けて婚約指輪を買うつもりで貯めていたお金です。ただプロポーズ自体はまだもう少し先だったので、「1ヶ月だけならいいか」という気持ちになってしまいました。
8月・9月分は完了しているという話を聞いていたこともあって、「実績があるなら10月分も大丈夫だろう」と貯金から一部を取り崩し、申し込んでしまいました。
入金後に返済が遅れ始めた
入金後、しばらくして返済が遅れるという連絡が来ました。
ただし連絡は取れていました。「もう少し待ってほしい」という説明が定期的に届き、最初はそれほど深刻には考えていませんでした。
しばらくして「一部を先に返済できる」という話が来ました。選択肢は2つでした。
- 今すぐ一部返済を受け取るか
- そのまま待って全額+利息で返済を受け取るか
その時点で僕はすでにポンジスキームの可能性を感じていたため、迷わず一部返済を選びました。元本の一部は手元に戻ってきましたが、残りはその後も戻ってきませんでした。
なお他の参加者は利息を受け取っていたようですが、僕は結局一度も利息をもらっていません。
1〜2年後に詐欺で逮捕・ネットニュースになった
その後も返済はなく、1〜2年ほど経った頃に詐欺として逮捕されネットニュースになりました。逮捕は別の案件も絡んでいたようです。
「やっぱりそうだったか」という確信は、逮捕のニュースを見る前から経過を見ている中でじわじわと固まっていました。気づいていたタイミングで一部でも回収しておいてよかったと、今は思っています。
なおその別案件の被害者の中には、損を取り戻そうとして二次被害にあった人もいた模様です。
紹介してくれた知人も被害者の一人で、今も返済に向けて金策を続けているようです。ただ「損を取り戻そうとした際にさらに被害にあう」という二次被害のリスクがあることを知っていたため、僕はその件からは距離を置くことにしました。
ポンジスキームとはどういう仕組みか
僕が引っかかった案件はポンジスキームという詐欺の手法でした。
新規投資家のお金で既存投資家に払う自転車操業
ポンジスキームは「集めたお金を実際には運用せず、後から入ってきた出資者のお金を既存の出資者への配当に回す」仕組みのことをいいます。
名前の由来は1920年代のアメリカで活動した詐欺師チャールズ・ポンジ。彼が考案したわけではありませんが、有名な事件を起こしたことで名が残りました。
構造としては「自転車操業」そのもので、新規の出資者が入り続ける限りは配当を払えますが、勢いが止まった瞬間に崩壊します。
最初は本当に払われるからわかりにくい
ポンジスキームの厄介なところは、最初は本当に配当が届くという点にあります。
「ちゃんと増えている」という実績ができることで信頼が生まれ、周囲への紹介が進みます。そうして新しいお金が集まり続ける間は、制度が回り続けてしまいます。
8・9月分が完了していたというのも、この「最初は払われる」という構造の上に成り立っていた可能性があります。
実際にあった有名な事件
ポンジスキームによる詐欺は世界中で起きています。規模の大きな事件を知っておくと、「こんな大きな話でも騙される人がいるのか」という感覚が持てます。
マドフ事件(アメリカ・2008年発覚)
世界最大のポンジスキームとして知られています。被害額は約6,500億円。元NASDAQ会長のバーナード・マドフが40年以上にわたって続けました。著名な投資家も含む多くの人が騙されました。
ジュビリーエース事件(日本・2020年発覚)
「AIを使った暗号資産投資」を謳った案件です。実際には運用しておらず、集めた資金を配当に回していました。被害額は約650億円に上るとされています。
安愚楽牧場事件(日本・2011年発覚)
「和牛オーナー制度」と称し、牛の売却益を配当として約束していました。被害者は約7万3,000人、被害額は約4,200億円です。
なぜ自分は引っかかったのか(自己分析)
詐欺にあった後、自分でもなぜそういう判断をしてしまったのかをずっと考えました。
月利4%の高さに気づいていたのに踏み込んでしまった
月利4%は年利換算で約60%になります。世界最高と言われる投資家でも年利20〜30%が限界とされている水準を、大幅に超える数字です。
当時もこの数字の高さには気づいていました。
パパさすがに高すぎないか?
という感覚はありました。
それでも踏み込んでしまったのは「8・9月分は完了している実績があるから」「1ヶ月だけの短期だから」という2点が根拠になっていたからです。



高いとは思うが、実績があるし短期ならリスクが限定的だろう
という判断でした。今振り返ると、高利回りの理由を掘り下げなかった時点で間違っていました。
「紹介」という信頼が判断を鈍らせた
話を持ってきたのは信頼していた知人でした。



この人が勧めるなら大丈夫だろう
という気持ちが、冷静な判断を奪いました。
ただしその知人も詐欺の被害者の一人だったと思います。ポンジスキームは紹介制度を利用して広がるため、善意で紹介してくれた人もいます。「信頼できる人から聞いた話」は詐欺の入り口になりやすい、ということを今は実感として知っています。
「使う予定がないお金・短期間だから」という感覚が危なかった
婚約指輪のために貯めていたお金でしたが、プロポーズはまだ先だったので「1ヶ月だけなら使っていいか」という気持ちになりました。
「短期間なら損が出ても限定的」「すぐに使わないから多少の冒険はいい」という感覚が、リスクの見積もりを甘くさせました。
短期・少額という条件が心理的な安全弁になり、判断力を鈍らせることがあります。
投資詐欺を見抜く6つのポイント
自分の失敗と、各詐欺事件の共通点から、見抜くためのポイントをまとめました。
①「月利○%」という表現に気をつける
月利という表現は年利に換算して考える癖をつけてください。
- 月利1%=年利約12%
- 月利4%=年利約60%
- 月利10%=年利約214%
参考として、世界中の株式に分散投資するオルカン(全世界株式インデックスファンド)の長期平均リターンは年利5〜7%程度、S&P500(米国株式)でも年利7〜10%程度が目安とされています。月利4%(年利換算で約60%)がいかに非現実的な数字かがわかります。
年利10%でも十分すぎるほど高い水準です。月利という単位で提示することで感覚が麻痺するよう設計されています。「高いとは思うけど短期だし実績があるから」という判断が一番危ないです。
②「元本保証」は投資では法律上ありえない
「絶対に損しない」「元本保証」という言葉は、銀行預金と国債以外では法律上使えません。
それ以外の投資商品で元本保証を謳っている時点で、法律違反か詐欺だと疑ってよいです。
③紹介で広がる仕組みはマルチ商法を疑う
「紹介すると報酬がもらえる」という仕組みがある場合は注意が必要です。
参加者が新たな参加者を連れてくることで成立するモデルはMLM(マルチ・レベル・マーケティング)構造と呼ばれ、ポンジスキームと組み合わさることが多いです。善意の知人が紹介者になっているケースも多く、紹介元を信頼していると警戒心が下がりやすいです。
④仕組みが不透明・説明できない
「どうやって利益を生み出しているか」を具体的に説明できない案件は危険です。
「AIが自動で取引している」「独自の手法がある」といった曖昧な説明で終わらせる案件は、実際には運用していない可能性があります。説明を求めたときに「仕組みは複雑で」「専門家でないと」とはぐらかされたら即座に距離を置いてください。
⑤「今だけ」「あなただけに教える」の急かし
焦らせる表現は判断力を奪うための手法です。
「今月中に入れれば特別な条件がある」「この話は一部の人にしか教えていない」という表現が出たら、冷静になるための時間を意図的に作ることです。詐欺師はゆっくり考えさせる時間を与えません。「少し考える」と言ったときの相手の反応を観察するだけでも有効です。
⑥金融庁の登録業者かどうかを確認する
日本で投資の勧誘をするには、金融庁への登録が必要です。
金融庁の公式サイトで「登録業者情報」を検索すれば、その業者が正規かどうか数分で確認できます。無登録の業者が投資の勧誘をすること自体が法律違反になります。手間に感じるかもしれませんが、お金を入れる前に必ずやってほしい一手間です。
被害にあってしまったら
もし詐欺に気づいた場合、最初にやることは「証拠の保全」です。
まず証拠を消さずに保存する
- 相手とのLINE・メールのやり取り
- 振込明細・送金の記録
- 勧誘時に受け取った資料やスクリーンショット
これらは後の対応に必要になります。感情的になって削除したり、相手を問い詰めたりする前に、記録を保存しておくことが最優先です。
消費生活センター・警察・弁護士に相談する
- 消費生活センター:「188(いやや)」に電話すると近くのセンターにつながります
- 警察:詐欺被害として相談・告訴が可能です
- 弁護士:返金交渉や法的手続きの相談ができます
一人で抱え込まず、早めに動くほど回収できる可能性が上がります。
二次被害に注意する
「損を取り戻そうとした際にさらに別の詐欺にあう」という二次被害があります。
「あなたの被害を回収できる」と近づいてくる業者や個人は、それ自体が詐欺である可能性が高いです。知人が今もその返済に向けて動いているのを見て、自分はその件から距離を置くことにしました。諦めることは悔しいですが、二次被害のリスクを取る方が怖いと判断しました。
諦めずに動けば一部取り戻せる可能性がある
一部返済か全額返済待ちかを選ぶ場面で、ポンジスキームの可能性を感じていた自分は迷わず一部返済を選びました。
「もう少し待てば全額戻るかも」という期待より「今取れる分を取る」という判断が正しかったと思っています。100%は戻りませんでしたが、何も取れないよりはよかったです。
違和感を感じた時点で早めに動くことが大切です。
この経験から変わったこと
詐欺にあってから、お金に対する向き合い方が変わりました。
「高利回り+実績あり」の組み合わせに警戒するようになった
実績があるということは、単に「まだ崩壊していない」だけかもしれません。高利回りの根拠を必ず問うようにしました。
自分の手からお金が離れる投資はしないと決めた
証券口座で購入する投資信託や株は、自分の口座の中で動くものです。誰かに「預ける」「送金する」形の投資案件には、今後一切関わらないと決めています。
正規の長期投資だけに集中するようになった
今はNISAでインデックスファンドを積み立てるだけです。地味ですが、これが一番確実だと信じています。「年利5〜7%で長期運用」という話に乗れるのは、それが根拠のある現実的な数字だからです。




まとめ
- ポンジスキームは「新規投資家のお金で既存投資家に配当する」自転車操業の詐欺
- 最初は本当に払われるから見抜きにくい
- 「確実に儲かる」「月利○%」「元本保証」「紹介制度」は詐欺の典型的なサイン
- 高利回りでも「実績あり・短期だから」は安全の根拠にならない
- 違和感を感じたら早めに動く。一部でも取れるうちに取る判断が大切
- 被害後は証拠保全→消費生活センター・警察・弁護士へ。二次被害にも注意
「自分は大丈夫」と思っている人ほど危ないです。
僕もそう思っていた一人でした。この記事を読んで少しでも疑う習慣がついたなら、書いた意味があったと思います。









